現在の我が国における社会保障制度は、戦後に積み上げてきたものです。高度成長期やバブル景気、そしてデフレと言われたさまざまな時代の変革を経て、現在の形になってきています。つまり、いろいろな方策がいろいろな方向に、まるで糸が絡んでいるような状態にあるわけです。これからは、この糸を解きほぐしていかなければなりません。ただし、解きほぐすだけでなく、これを新しい制度に組み替えていかなければならないのです。これから築く新しい制度については、公平で信頼できるものでなくてはなりません。また特に官民格差に着目しました。それは官が運営している限り高コスト構造はなかなか是正されないからです。
  そのため、ここにも民間の活力を利用して低コストになるような工夫が必要なのです。この手法は、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)と呼ばれ、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。イギリスなどの先進国では既にPFI方式による公共サービスの提供がなされており、病院や学校、鉄道や橋に至るまでも、これらの公共施設等の整備・再開発などの分野で成果を収めています。また、我が国においても、既に法制化も整い、幅広く採用されています。このPFIの実現に向けては、平成九年、山崎拓先生が政務調査会長の時代に、私が副会長を務めたことがことがきっかけとなりました。ある日、山崎先生から「日本経済を活性化させる景気回復策を打ち出したいのだが、財政が厳しい。この矛盾を解決する方法はないだろうか」と尋ねられましたので、「PFIは極めて有効な政策手段であると思います」と申し上げたのです。
  山崎先生は党内でも屈指の政策通ですが、人一倍の勉強家です。そのときも、ペーパーに書いた資料をお渡ししたのですが、翌朝にはそのペーパーに、ぎっしりと赤線が引かれていて、「これは面白いから、ぜひやれ」と、私の提言をすぐに支持してくださいました。さらに、PFI推進法の制定を具体的に検討する適切なアドバイスもしてくださいました。
  政調会長時代の山崎拓先生は、資料をお渡しすると、翌朝にはきちんと答えをくださるのです。派閥の長であるだけでなく、政財界に通じておられる山崎先生は、夜の会合も数多くあるはずなのです。それにも拘らず、政策について相談すると、いつも翌朝には、きちんと答えて出してくださる。ほんとうに非凡な方だなあと思いました。
  この数年来、国、地方自治体の厳しい財政状況のなかで、特に三位一体の名の下に、ますます厳しい財政運営を強いられています。より少ない財政負担で経済を刺激し、さらには経済インフラを整備し、あるいは住民福祉を充実する手段としてPFIは時代に合った政策と言えます。私はそう確認し、積極的に法案づくりに取り組みました。PFIの推進は、民間事業者への新たな事業機会の創出にもつながりますので、経済構造改革にも資することになります。
  努力の甲斐があり、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)は、平成11年7月に制定され、同年9月に施行されました。そして平成12年3月には「基本方針」が策定され、PFI事業の基本的枠組みが整えられたのです。
  その後、私は党のPFI推進調査会長に就任し、制度がより理想に近づき、そしてより推進しやすくなるよう努力して参りました。
  PFI基本方針が策定されてからこの3月で6年目になりますが、現在約229件以上の事業が開始、または実施することが決定されています。日本経済は持ち直してきたというものの、国民すべてが景気回復を実感するほどには、まだ至っていません。今後も経済活動を活性化する景気刺激策の手を緩めることなく、数々の施策を打ち出していかなくてはいけないと考えています。私は、その手段としてPFIを更に活用し、持続可能な社会保障制度の再構築をはじめ、山積する課題に果敢に取り組んでいく所存です。

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